400年もの歴史を誇る佐賀県の有田焼には、その様式を定義したと言える大きな窯元が存在します。国内初の赤絵付けの技法を用いた柿右衛門様式の酒井田柿右衛門、品格高い鍋島様式の今泉今右衛門、絵付けの柄を現代のデザインに発展させた源右衛門があり、これらが「有田の三右衛門」と言われています。まず、多くの人々に知られている柿右衛門窯は、17世紀の初代から現在の第15代まで約370年の歴史を誇っていて、有田焼を代表する窯元です。また、同じ場所には歴史を感じさせる建物が並び、端正な庭園は柿右衛門様式の「余白の美」を象徴しています。ここではショップの「展示場」や歴代の代表作を見物出来る「古陶磁参考館」が大きな見どころです。次に、今泉今右衛門窯の鍋島焼は江戸時代に諸藩の御用窯として栄えた様式で、初代から14代まで約350年の歴史を誇っています。一子相伝で伝えられた赤絵師の技で、今でも献上や贈答にふさわしい最高級品を作り続けています。大きな特徴として鍋島文様と呼ばれる数多くの意匠があり、大名が使うためにデザインが格調高くなっている点も魅力的です。宝尽し・有職文・松竹梅などの「吉祥文様」や季節ごとに異なる「花文様」が美しく施されています。最後に紹介する源右衛門窯は、三右衛門の中では少し歴史が新しく260年あまりとなっています。
いまではオンラインでも買える!
色鮮やかな現代風のデザインが特徴的で、東京に直営店がある上にオンライン販売も可能なため、多くの人が購入しやすい点が魅力です。江戸後期から明治時代は低迷していましたが、6代目が海外で輸出古伊万里に魅入られ、これを復興の手がかりとしました。昭和50年代には海外ブランドと提携するなど、現代的な商品開発を行う先駆けとなりました。なお、三右衛門の中で工房の中を見られるのはここだけです。実際に薪が積まれた窯や職人の手仕事を見学出来ます。見どころは、貴重な古伊万里が展示される古伊万里資料館で、オランダ東インド会社のロゴが入った輸出古伊万里などがあります。